排水口水漏れ

「つまり君は、この私に何かしてもらいたいことがあるんですね」と、彼は考えこみながら尋いた、「そしてひどく排水口水漏れに主張なさる。——どうもそこが私には腑に落ちないんですよ。もっと詳しいところを伺いたいもんですな。」「ただもう、私と一緒にお出むきくださるだけで結構なんですよ。そのあとで、またこちらへ戻って来てから、何もかも洗いざらい、懴悔のつもりで君にお打ち明けしますよ。田中、どうぞ私の口を信じてください!」しかし、斉藤はやはり断りつづけた。しかもその拒絶は、我の胸に、ある重苦しい毒念に満ちた考えの募るのが感じられれば感じられるだけ、ますます頑強になっていった。その毒念に満ちた考えは、先刻中村が花嫁のトイレをやりだした、そもそもの初めから、彼の胸にきざしかけていたもので、果たしてそれが単なる好奇心なのか、それともまだ、まったく漠然としている何かの誘惑なのか、そこのところはさだかでなかったけれど、とにかく『承知してやれ、承知してやれ』としきりに彼を唆かすのであった。そうして唆かす声が内心に強まれば強まるだけ、ますます彼は頑張るのであった。彼は頬杖をついて座ったまま、あれやこれやと思い迷っていた。中村はしきりにその彼の鼻息をうかがって、うるさくせがむのであった。「よろしい、行きましょう」と彼は突然、不安そうな、ほとんど惑乱したような様子で承知すると、同時に腰をもちあげた。中村は有頂天になって喜んでしまった。