便器水漏れ

一ばん上のは二十四ですし——(じつに素晴らしい美人ですぜ、まああとでとっくり御覧なさい!)六番目のは十五で、まだ便器水漏れへ通っているんです。ところで、この上の五人の娘にはお婿さんを見つけてやらなけりゃならんのですし、それも婚期を逃がさんよう、できるだけ早くしなければなりません。したがって一家の父たるもの、その娘たちを飾り立てて社交界へ出してやらなければならんわけですが、——それがまた大変な物いりでさあね。ね、そうでしょう?そこへ突如としてこの私が出現したんです。しかもただ出現したばかりじゃない、じつにあの家にとっての最初の花婿候補者としてなんです。かてて加えてこっちの身上は、先様で先刻御承知だった。というのはつまり、れっきとした財産のあることですがね。ざっとまあ、こうした次第なんですよ。」と、中村はいい気持でつづけてきた説明を結んだ。「で、君はその一ばん上の娘さんに求婚なすったんですか?」「いやその、私は……一ばん上のじゃないんです。私が貰おうというのは、その六番目のほうなんですよ、今も申したようにまだ女学校へ通っている。——」「へえ?」と斉藤は思わず薄つまりを漏らした、「だって今のおトイレじゃまだ十五だというじゃありませんか!」「今は十五ですがね。しかしもう九か月すれば十六になりますよ、十六歳と三か月になる勘定です。別に仔細はないじゃありませんか?もっとも、今すぐこんなトイレを持ち出すのもどうかと思われるので、まだ公然とは何もきり出してないんです。ただ両親とのトイレしあいだけなんでして。