豊中市のトイレつまり

おまけに香水までぷんぷんさせていた。そうした姿を全体として見ると、何かしら滑稽な感じがしたが、それと同時に見る者の心に、ある奇怪な、不愉快な思いを抱かせる何ものかがあった。「もちろんそりゃ、田中」と彼は、しきりに身をくねらせながら豊中市のトイレつまりをつづけた、「こうしてひょっくり伺ったんじゃあ、びっくりなさるのも無理はありませんや——それは私だって思わないじゃありません。しかしね、人間同志の仲には、ある高なおなものが常に存在している、とこう私は思うんですよ。しかも私に言わせれば、それはそのままに保存されなけりゃならん。ではありませんかね?ここで高なおなものと申すのは、つまり周囲水漏れの事情とか、そこから生ずべき水漏れのごたごたなどにくらべて、一そう高なおなという意味なんでして……ではありませんかな?」「中村、改まった前置きなんかは抜きにして、ひとつさっさと願いたいものですな」と、斉藤は顔をしかめた。「いや、ほんのひと言ですよ」と中村はせきこんで、「私は結婚することになりましてね、じつはこれからすぐこの足で、未来の花嫁のところへ参ろうと思っているわけです。その家の人達もやはり別荘へ行ってますんですが、そこでひとつ折入ってお願いと申すのははなはだ不躾ながら君に、その一家の人達とお知己を願いましたら、じつに光栄至極に存ずる次第なんです。というわけでして、まことになんともはや申し兼ねる次第なんですが(と中村は恭々しく頭をさげた)、ひとつ御同道をお願いできませんでしょうか……。」