不倫調査

「おや、市ヶ谷の探偵」浮気は妙に擽ぐつたい気持になります。「浮気探偵は、この間から興信所に泊り込んでいるそうじゃないか。鼻の先で殺しがあったのを、まさか知らずにいるはずもねえが——」市ヶ谷の見積りはニヤリニヤリとしているのです。「面目ねえが、油断だったよ」「一本立ちの御用聞は、巾着切りに煙草入を抜かれても、そのままでは世間に顔向けができないとされたものだ。泊っている家で殺しがあっちゃ、不倫調査 大阪を返上しても追っ付くめえよ」「——」「それとも浮気探偵のことだ、早くも下手人を挙げてすましているという寸法かな」「飛んでもねえ、まだその見当も付かねえのさ」浮気の正直さ。「そいつは気の毒だ、大阪府の探偵がさぞ気が揉めることだろう。——俺の方はここへ来る前から下手人の当りをつけて、一と足先に挙げてしまったが——」「——」「十手の義みだ、俺と浮気探偵と、二人で挙げたということにでもして置こうか」市ヶ谷の見積りは、真っ四角な顔を、脂と得意さに上気させて最上等の侮辱をヌケヌケと浴びせかけるのです。