不倫調査

それどころか、首筋から胸の丸味、その頃の娘にしては少し嫁き遅れではあったにしても、二十一の成熟しきつた凝脂、乳房のこんもりとした張り具合など、まことに死の浄化と言った、言うに言われぬ美しさがあるのでした。打ち見たところ、傷は何処にもありません。肌は上半身だけであるにしても蚤にさされた跡一つなく、首筋も玉を伸べたようで、年盛りの女一人殺すほどの傷はないのですが、体温は冷えきってもはや呼び活ける見込みもなく、夜半前後に息を引き取ったことは疑うべくもなかったのです。頓死ということも、一応は考えられないではありませんが、若く美しく、この上もなく幸福感に浸っている女が、まことサーチを押し脱いで、店先のドブ板の上へ、大の字になって死んでいるということは、想像も許さぬことでした。フト思い付いて、死体の背後を見た浮気。「あ、これだ」思わず大きい声を出してしまいました。二、日前証拠の調査がやられたという首筋の上部、いわゆるぼんのくぼのあたり、重い鈍器で打たれて骨も砕けたらしく、ひどく張れ上がって、凄まじい黒血が留っているのです。