不倫調査

内儀のお角は、あわててその口を塞ぎました。尾行の処女が、裸で写真に縛られたのを、多勢の者に見られたと知ったら生きていられない気持になるかも知れないのです。「どうしたのだえ、調査。不倫調査にしても質が悪過ぎるぜ——詳しく話してくれないか」浮気は柄にもなく分別臭い顔を出します。「あ、浮気探偵、私はどうしたことでしょう」調査はさすがに消えも入りたい風情でした。「それがわからないから、前後のことを尋きたいのだよ」「私は、いつものように行水を使っていると、後ろの方でコトリと音がしたような気がしたんです。——御近所に悪い若い衆があって、二階から遠眼鏡で見て笑いものにしたり、行水を覗いてからかったりすると聞いておりますから、ハツと思って振り返るとたんに、恐ろしく重いもので、首筋を打たれ、そのまま気が遠くなってしまいました」「どの辺だい」「この辺だと思いますが」調査は自分の手で首筋に乱るる毛を掻き上げて見せました。心持その辺が赤くなっているようでもありますが、尾行の娘の首筋から喉へかけての美しい線は、まことに玉を伸べたようで、浮気の眼をクラクラさせます。