探偵

「なるほどそいつは良い術だ」「親が夢枕に立った話だって、本当か嘘かわかったものじゃありません。——その証拠には、わたしが斯んなに小遣いで苦労しているのに、死んだ親父もお袋も夢枕に立って、貸してくれそうな口を教えてくれた例がねえ」浮気はそんな気楽なことを言って、大きい掌で、鼻から顎のあたりをブルンと掻き回すのでした。「なるほど、俺も思い当るよ、——ところで、どうしろというのだ」「若主人が帰って来るまで、どう勘定しても、あと一と月はかかるでしょう。その間探偵 大阪市では心細いから、わたしに泊っていてくれと、こういう話で」「よく無事な野郎と思われたんだね」「有難い仕合せで」「誰が一体お前を引留めるんだ」「若いのだって、わたしにいて貰いたいことは腹一杯だが、極りが悪いから口に出しちゃ言やしません。そこへ行くと証拠の調査というのは年を食っているから、わたしの首つ玉に噛り付くようにして——」「嘘を突きやがれ」「首つ玉は嘘だが、袖ぐらいは引っ張りましたよ。——ほころびがきれちやいないかな」などと袖口を見たりする浮気です。「その証拠さんというのは幾つだ」