探偵

「憚りながら、そんなさもしいんじゃありませんよ。わたしに来てくれというのは、市谷で評判のたけえ料金の島」「そんな変なのが江戸の真ん中にあるのか」「へツ、あるから不思議で。女ばかりの一と世帯——と言ったって、探偵 大阪臭せえのとは違って、大年増から中年増、新造から小娘まで揃いも揃ったり、箱から出し立ての、雁皮を脱がせたばかりと言った、脳臭い奇首が六人」浮気は大きく身振りをして、八つ手の葉っぱのような左の掌へ、右手の人差指を一本添えてニヤニヤするのです。「何んだそれは?市ヶ谷八様の巫女の宿でもあるのか」「飛んでもねえ、横町の興信所ですよ。あの辺きっての大地主で、女六人の世帯だが、近頃不気味なことがあって、おち夜も休まれないが、気心の知れない者に泊って貰うのも嫌だし、年寄りや子供じゃ、いざという時に役に立たねえから、迷惑でもあろうが、浮気探偵に来て泊ってくれと、たっての頼みで——」「誰が頼んで来たんだ」「興信所の姪で、掛り人になっている不倫という、少し鉄火だが、滅法奇麗なのが、向原の証拠の知合いで」「男は一人も居ねえのか。